大判例

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東京高等裁判所 昭和33年(う)51号 判決

被告人 芦田昭一

〔抄 録〕

原判決が、その理由中、罪となるべき事実として引用する昭和三二年一一月一二日附起訴状記載の公訴事実認定の証拠として、他の証拠と共に、証人日下部正の原審公廷における供述を挙示していること、及び、該公訴事実においては、被告人が右日下部正並びに深山忠と共同正犯の関係にあるものとして起訴されているものであることは、いずれも所論のとおりである。ところで所論は、右日下部正の原審公廷における供述は、共犯者一人の自由であつて、いわゆる「半証拠能力」しか有しないものであり、他に補強証拠がない限り、完全な証拠能力を有しないものであるところ、原判決挙示の全証拠中にも、右日下部正の証言の補強証拠を発見することができないのであるから、原判決には、この点につき、完全な証拠能力を有しない証拠によつて有罪事実を認定した違法がある旨主張するのであるが、しかし、共同審理を受けていない単なる共犯者の供述は、ただ共犯者たるの一事をもつて、完全な独立の証拠能力を欠くものとはいえないことは、つとに、最高裁判所判例(昭和二三年(れ)第七七条、同二四年五月一八日大法廷判決、判例集第三巻、第六号、七三四頁)の示すところであつて、記録によれば、右日下部正は、前示公訴事実の内容たる犯罪事実については、本件被告人並びに深山忠なる者と共同正犯の関係にはなつているけれども、これらの者とは別個に起訴されて既に、確定判決を受けているものであつて、本件被告人と共同審理を受けた共同被告人ではないことが明らかであるから、右日下部正の原審公廷における前示供述は、完全な独立の証拠能力を有するものというべく、従つて、原判決が、これを他の証拠と総合して原判示窃盗の事実を認定したからといつて、これがため、原判決に所論のような完全な証拠能力を有しない証拠によつて有罪事実を認定した違法があるものということはできない。

(中西 山田 鈴木良)

註 本件は他の事実について証明不充分のため破棄

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